ドクター・フー50周年ドキュドラマ”An Adventure in Space and time”同時再生実況ツイートまとめ

5月23日(土)7pm(日本時間翌3am)より、マークが脚本・製作を担当したドクター・フー50周年ドキュドラマ”An Adventure in Space and time”の同時再生企画が開催されました。
マークと演出家ウァリス役のサシャ・ダワンがツイッター実況で参加。
この記事では舞台裏を語るマークのツイートを訳してまとめています。
ツイートの下が日本語訳、続いて青枠の中が解説です。

「終わりには程遠い」

※1代目ドクターのエピソード”Tenth Pranet”でのセリフ

「明日の夜7時、”AAiSaT”同時再生にみなさんが参加できることを願っています」
「今夜7時!」
「”AAiSaT”は本当の意味で愛するからこそやった仕事だった。僕は3代目ドクターで育ったけど、神聖な作品の中で語られるDW初期の魔法にはいつも心を奪われる。(初期のメイキングがあるのは知っているけど、これは僕なりのメイキングです)
「もちろん、バーンズ・コモン! このシーンは元々、デヴィッド・ウィテカーの”Dr Who and the Daleks”のように、霧の中での衝突から始まった。実際の撮影現場はウィンブルドン・コモンで、‘The Massacre’の最後でターディスが建てられた場所でもある」

※冒頭の車のシーン。”Dr Who and the Daleks”は1964年に出版されたデヴィッド・ウィテカー作のドクター・フー小説。ドラマ版とは異なり、コンパニオンがバーンズ・コモンで起こった交通事故で出会うシーンがあります。”The Massacre”は、1966年に放送された1代目ドクターのエピソード。

「僕はオリジナルのサイバーマンを今作に入れようと決めていて、ポール・マクナマラ(小道具担当)がオリジナル・チームと同じくらい素晴らしい仕事をしてくれた。喫煙シーンは”Revenge…”のサイバーマンの写真に触発された」

※”Revenge…”は4代目ドクターのエピソード”Revenge of the Cybermen”?

「想像の通り、ウィリアム・ラッセルの出演は特別だった。
彼は役の元になった守衛を覚えていたんだ!
これが協力的で頭の切れる彼とイアン第2世代、ドクター・フー一族から迎えた素敵なジェイミー・グローバー」

※ウィリアム・ラッセルはかつて1代目ドクターのコンパニオン、イアン役でドクター・フーに出演。”AAiSaT”には守衛役で出演しています。
ジェイミー・グローバーは”AAiSaT”の中のウィリアム・ラッセル役として出演。彼の父ジュリアン・グローバーはリチャード一世役などでドクター・フーに出演している「ドクター・フー2世」です。

「シドニーはとても多彩なキャラクターで、キャスティングが大変だった。ジョン・リスゴーやジェームズ・ガンドルフィーニでも話し合っていたんだ。
そしてブライアン・コックスを”The One Show”で見て… バン!バン!バン!
ブライアンは休暇の予定を変更してやってくれることになった。彼はテレビジョン・センターにも温かい思い出を持っていたんだ」

※”AAiSaT”の撮影場所であるテレビジョン・センターは1960年代からBBCの名物番組の数々が収録されたスタジオ。このドラマが撮影された直後の2013年に一度閉鎖、再開発中。

「ああ、ヴェリティ! 彼女と少し知り合うことが出来てラッキーだった。大いなる力でありドクター・フーの忠実な友。ビジョン・ミキサーのクライヴ・ドイグが彼女の「赤いワインのキス」について詳しく教えてくれた。(続く)
「(続き)ヴェリティ、ウァリス、シドニー、ビルを主要キャラクターにするべきだとはっきりした。テリー・ネイションとレイ・キューシックのサブプロットや、トニー・ハンコックのカメオ出演もあったんだよ!
後にジェシカ・レインが新生児誕生の専門家になったんだけどね…」

※テリー・ネイションはドクターの天敵ダーレクが初登場するエピソード”The Dalek”の脚本家。そのダーレクをデザインしたのがレイ・キューシック。トニー・ハンコックは当時の人気俳優。ジェシカ・レインがドラマ「コール・ザ・ミッドワイフ」に助産師役で出演していたため「新生児の誕生」と「ドクター・フーの生みの親」を引っ掛けている。

「『ガラス瓶の中の脳みそ』。想像してみて!」
「あの大道具部屋はドクター・フーのものでいっぱいだった!スウィートヴィルの門も入ってる!」

※「スウィートヴィル」はマークが脚本を書いたドクター・フーの「深紅の恐怖」に出てくる共同体。

「ジェシカ・カーニーは、細かい部分で大きな助けになってくれた。彼女は祖父母に『ジュディ』や『ジュディ・プディ』と呼ばれていたんだ。ヘザー・ハートネル役に偉大なレスリー・マンヴィルを迎えたことは幸運だった。彼女は古い友人で、ビルの辛抱強い妻に素晴らしい儚さをもたらしてくれた。

※ジェシカ・カーニーはウィリアム・ハートネルの本当の孫娘。BFIで行われたプレミア上映でもマークらと共に登壇していました。

「これは番組から一番最初にツイートしてみんなが興奮した画像!
ここで見えているのはデヴィッドの目だけ、でもビルの目にすごく似てて不思議。
僕はというとテレビの中でしゃべる会話を急遽書かなければならなかった。’I only arsked!’」

※’I only arsked!’はウィリアム・ハートネルが出演したシットコム”The Army Game”の中で出てくるキャラ、ポップルウェルのキャッチフレーズ。同名のスピンオフ映画も作られている。

「ドクター・フーの誕生に関わった人々を公平に扱おうとするのは信じられないほど大変だった。初期の台本にはデヴィッド・ウィテカーに”バーニー”・ウェバー、”悪役”のジョアンナ・スパイサーも出てきた。最終的にマーヴィン・ピンフォールドが彼らの多くを象徴する存在になった」

※デヴィッド・ウィテカーは脚本家。今作で描かれる第一話”An Unearthly Child”から台本編集者として関わっている。C. E. “バーニー”・ウェバーも脚本家で、第一話の企画に関わっている。ジョアンナ・スペンサーはドクター・フーの発足に関わったアシスタント・コントローラー。欧州放送連合のBBC代表も務めている。BBCの番組ページに紹介文あり。

「ジェフ・ローレがマーヴィン役で出演してくれたのも嬉しかった。子供の頃、彼の”Billy Liar”が大好きだったし、もちろん彼は永遠にPlantagenetだ! よく言うだろ、『テレビジョン・センターは自らを葬る』。彼の発明したオートキューの最後は”The Dambusters”の似た場面に影響を受けた。

※ジェフ・ローレは5代目ドクターのエピソード”Frontios”で惑星の住人Plantagenet役で出演。”Billy Liar”は1970年代にITVで放送されたシットコム。
マーヴィン・ピンフィールドは劇中で紹介された通り、初期のプロンプターの発明者として知られている。”The Dambusters”は1955年に公開された英国の戦争映画「暁の出撃」?

「最初にデヴィッド・ブラッドリーをビル・ハートネル役に、と提案したのはエドガー・ライトだった。彼の言う通りだったよ。デヴィッドは昔ながらのバラエティからRSCまで素晴らしい背景を持った面白い人だ。彼のファンであり、一緒に働くのは喜びだ」
「サシャ・ダワンもまたこの仕事での喜びの一つ。一体彼に何があったんだ!?
これはとても感動的な読み合わせでの彼と、ウァリスの『ドラマシリーズA』のためのノートや企画を収めたオリジナル・ファイル。

※サシャ・ダワンはこのドラマ出演の後、13代目ドクターのエピソードで”あの役”を演じています。

「トビー・ハドク警報! ヴェリティとウァリスのアウトサイダーの立場を強調することは僕にとって非常に重要だった。とても若く、変わっていて、才能溢れている」

※トビー・ハドクはスタンダップ・コメディアンで俳優。ドクター・フーの大ファンで番組をテーマにした舞台”Moths Ate My “Doctor Who” Scarf”を成功させ、DVDのコメンタリーで進行役を務めたことも。今作ではウァリスの注文を無視するバーテンダー役で出演。

「『たくさんの人たちが番組の誕生のために立ち会って、一日中ここにいる!』
人や出来事や時間をまとめるのは脚本家の仕事…これほど辛いことはない。
ドクター・フーのファンとして、重要な人物を除外するのは二重に難しかった」

※レストランでヴェリティがビルに番組の説明をするシーン。

「このモンタージュ、大好き」

※オープニングの合成映像について。

「ジェシカは赤ちゃんの取り上げ方がかなりうまくなったね!」
「チーム! ジェイミー、ジェマ、クラウディア(彼女は初仕事、ジェシカ・カーニーがエージェント!)はまさに完璧なラス、ジャクリーン、キャロル・アン。
記者会見の場面を繰り返して、ビルの嫌悪感の高まりを表す仕掛けが好きだったよ」
「おじいちゃん :)」

※ウィリアム・ハートネルの孫娘ジュディは彼を’Sampa’と呼んでいる。

「もちろんこのリハーサルはチャーチホールでやるはずだったけど、余裕がなかった!」

※パイロット版のリハーサルシーン。

「宇宙船の中!」

※ウァリスが「ここでテープを止めて、宇宙船の中に入る」と出演者に説明するシーン。

「僕らの素晴らしい演出家からメッセージ:
『バン!バン!バン!
テリー・マクドナーから作るのと同じように楽しんで見てくれているファンへ!』
すべてを実現してくれた(製作の)マット・スティーヴンス、カロ・スキナー、リチャード・クックソン、そしてスティーヴン・モファットにも感謝」
「デイブ・アロースミスと彼のチームの素晴らしい仕事に大感謝。
ターディスに足を踏み入れた人は皆息を飲んだ。ピーター・ブラチャッキも驚いただろう。
多分、喜んだだろうね!
それにあの廃品置場のゲート…みんな震えたよ!」

※デイブ・アロースミスは今作のプロダクション・デザイナー。ピーター・ブラチャッキは劇中にも登場するターディスの内装を担当したデザイナー。

「これほど美しいものはない!」

※ついにターディスが完成したシーン。

「撮影初日に偉大なウァリス・フセインを迎えられて光栄だった。
彼自身とその友人たちが再現されるのを見るのは非常に感動的な経験だ。
彼の見事な仕事がなければ、この作品は実現しなかっただろう。
元祖、と言っていい」
「第1話はここまで酷い状況にはならなかった!
スプリンクラーが回ったのは‘The Aztecs’だと思う」

※第一話撮影中にターディスのドアが開いたり、スプリンクラーが回り始めるトラブル続きのシーン。”The Aztecs”は1代目ドクターの第6話(シリーズ)。

「バカな!」

※撮り直し宣告のシーン?

「このシーンのデヴィッドとジェシカは素敵だ」

※撮り直しの報告をするヴェリティがビルを励ますシーン。

「気を強くね!
放射能測定器は点滅するはずだった! いつも気になる」

※第一話の放送がやっと決定しヴェリティとウァリスが安堵するシーン。ターディスの放射能測定器の”危険”部分はオリジナルでは点滅しているが、今作では点滅していない。

「暗殺のライフルの組み立てとダーレクの描写を対比させるのは”AAiSaT”ではじめにあったアイディアの一つだった。
とても効果的で物憂げな瞬間だと思う。
ショーン・バレットのアナウンスで父親が息子を抱きかかえる姿にいつも胸を打たれる」
「この場面でのジェシカの輝きが好き。ヴェリティには手出ししない!」

※ヴェリティがシドニーに堂々と立ち向かい、第一話の再放送を要求するシーン。

「見て! 美しいダーレクたちだ! ニコラス・ブリックス警報!」

※ダーレクが初登場するシーン。俳優で製作者のニコラス・ブリックスは21世紀のドクター・フー新シリーズでダーレクやサイバーマンの声を担当していることで知られています。今作では当時ダーレクの声を担当していたピーター・ホーキンスを演じています。

「キャロル・アン! 『テレビが始まったわよ!』」

※1代目ドクターのコンパニオンで孫娘を演じたキャロル・アン・フォードは、遊びに出た子供たちを呼ぶ母親役でカメオ出演しています。

「テレビジョン・センターに祝福を。僕らは古い形のその場所で撮影した最後のドラマだった」

※ダーレク回が成功して喜ぶヴェリティがウァリスと抱き合うシーン。

「本物のドクター・フーのスタイルで、廃品置場の階段をマルコ・ポーロのセットに再利用した!」

※1964年放送のエピソード”Marco Polo”の撮影場面。

「『昨夜ダイヤルをいじったのを見た。だからどんな状況でも触ってはならないものを教えようと決めたのだ』
デヴィッド・ウィテカー作の”Dr Who and the Forbidden Subjects”。
クライブ・ドイグの引き出しの中で見つかった!」

※ウァリスが番組を離れ、ビルが朗読をするシーン。クライブ・ドイグはBBCのビジョン・ミキサーとして当時ドクター・フーに関わっていたプロデューサー。

「年刊ドクター・フーのアートワークを作る余裕がなかったので、自分のために依頼した。
ショービジネスのルールその1:自分の金を番組につぎ込むな!
ショービジネスのルールその2:自分の金を番組につぎ込むな!」
「もちろん、僕らの何人かは以前にウェストミンスター橋でダーレクになったことがある」

※ドクター・フー30周年を記念した番組”More Than 30 Years in the TARDIS“でウェストミンスター橋のダーレクが再現されることになり、操縦するスタッフ不足のため俳優組合に入っていたマークがダーレクに入ることが出来たらしい。

「『一発で書き換える』それこそ作家だ!」

※降板するキャロル・アンを引き止めるビルのシーン。

「どのくらいだ、ドクター? どれほど長く生きている?」

※4代目ドクターの「モービアスの脳」からの引用。このストーリーは13代目のシリーズにも影響を与えていると言われています。

「誰もが共感できる人間ドラマとして物語が成り立つことが極めて重要だった。
もちろん、僕らはみんな取り替えが効く…」
「Zarbiも欲しかったな。マシュー・スウィート警報!」

※マシュー・スウィートは評論家で作家。マークの対談の聞き手役としても頻繁に共演しています。彼が演じているの“The Web Planet”に登場する蜂のようなヒューマノイドMenoptera。Zarbiは蟻型のインセクトロイド。

「たくさんの旧友との別れがある。元々ヴェリティが”Adam Adamant”の製作に移ると語ることになっていたが、現代社会に合わない時代遅れの男の話をするのは賢明じゃないと気付いた。
『また会う日まで』…たまらない」

※”Adam Adamant Lives!”は1960年代に冬眠状態から目覚めた19世紀生まれの冒険家が主人公のドラマ・シリーズ。ヴェリティやシドニーが製作に関わっています。

「『ツイードとタバコの煙』の1963年と古代中国の栄光の対比、そして驚くべきスザンヌ・ケイヴと(BAFTA受賞の!)ヴィッキー・ラングの才能が結実。美しい仕事、だけどピーター・パーヴスの『トイメイカー』セーターにはかなわない!」

※スザンヌは衣装デザイン、ヴィッキーはメイクアップ担当。ピーター・パーヴスはドクター・フーでコンパニオンのスティーブン・テイラーを演じた役者。”The Celestial Toymaker”と言うエピソードで画像のセーターを着用。

「抜け目のない人の声のカメオ出演です」

※どうやら調整室からビルに指示を出す演出家はマークが演じていたようです。

“The Massacre“からのこの短いセリフが雰囲気にぴったり合っていた。
『視線の先にたくさんの人が踊っている』知ってる人たちのために」

※”The Massacre of St Bartholomew’s Eve”は1966年放送のストーリー。

「僕は失われた物語の一部を再現できるかもしれないという期待でワクワクしていた。
‘The Myth Makers’, ‘Masterplan’ そして ‘The Masters of Luxor’といった物語が初期の台本に書かれていたが、予算が許さなかった。
サラ・キングダム役のジーン・マーシュと再会する機会を失ってしまったのが一番残念」

※ドクター・フーには幾つかの映像が残っていないストーリーが存在する。サラ・キングダムは失われたエピソードの一つ”The Daleks’ Master Plan“に登場する宇宙秘密諜報部のエージェント。

「『歴史は変えられない、一行も!』もちろんこれは”The Aztecs“からの引用で、続くすべてが真実であると説明するのにちょうどいい。
この企画は何年も書きたかったんだ。これは2002年の初期のあらすじ」

※”The Aztecs”は15世紀のスペインを舞台にした1964年6月放送のストーリー。

「初期の草稿では、ビルの代理人(で義理の息子)であるテリー・カーニーや、たくさんのパブのシーンが含まれていた! 草稿1ではコテージでものを整理している成長した孫娘ジュディの構想があったり、草稿2では”Points West”のインタビューを使っていた。

※”Points West”はBBCの地域ニュース番組。

「『幸運の女神よおやすみ、もう一度微笑みかけてくれ、運命の歯車を回せ」」

※劇中に登場する「リア王」の引用。

「『離れたくない』…また、たまらない」

※自宅で降板を悲しむビル。10代目ドクター再生前のセリフの引用でもあります。

「エドマンド・バットの素晴らしい楽曲は、ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」のワルツに影響を受けたもの。「時の渦巻き」のような感覚があると、僕から提案した。ロマンティックで、でもわずかに気まぐれで制御不能な感じが、ターディスっぽい」
「さあ来た… このアイディアを思いついた時、僕は泣いた」

※11代目ドクター、マット・スミスのカメオ出演。

「最後の瞬間ギリギリまで、マットが現場でカメオ出演してくれることを願ってた、でもスケジュールで不可能だった。
だからあれは僕の手なんだ!
“Plabet of the Daleks”でジョン・パートウィーがやってたことを思い出してみて!

※マットのカメオ出演は合成で現場にはおらず、ターディスを操作する手はマークだった!と言うことですね。確かに3代目ドクターの”Plabet of the Daleks”の中で、ターディスに両手を置き、テレパシーでメッセージを送るシーンが出てきます。

「そして、もちろん最後はオリジナルで締めくくらねばなりません。
これを実現させてくれた皆さんに心から感謝しています。誇りに思います。
『ドクター? みんなを元気にしてくれるの?』
そうだよ♥」

※“A Doctor?…”は孫娘のジュディのセリフです。

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